連載コラム:知っておきたい日本版「共同親権」のこと【第5回(終)】 養育費の新ルールと、施行前に離婚した方へ
最終回は、今回の法改正でセットで導入された「養育費の新制度」と、「すでに離婚している方への影響」についてお伝えします。
法定養育費制度が新設されました
これまで、養育費は父母が取り決めをしていなければ請求が難しい側面がありました。今回の改正では、取り決めがない場合でも「法定養育費」として子ども1人あたり月額2万円を相手に請求できるようになりました。
さらに、一定額(子ども1人あたり月額8万円)については、公正証書や調停調書がなくても、離婚協議書等の取り決め文書さえあれば、強制執行(給与差し押さえなど)の申し立てができます。
養育費は「先取特権」も付与されており、他の債権よりも優先して回収できる仕組みも整いました。なお、財産分与の請求期間も離婚後2年から5年に延長されています。
すでに離婚している方も、共同親権への変更が可能です
2026年4月1日の施行前にすでに離婚が成立し、単独親権となっている場合でも、施行日以降に家庭裁判所へ「親権者変更」の申し立てをすることで、共同親権に変更することができます。
ただし、注意点があります。「法律が変わったから共同親権にしたい」というだけでは変更は認められません。裁判所は「現在の状況において、共同親権が子の利益にかなうか」を判断します。父母が子どもの利益のために協力し合える関係性があるかどうかが、特に重視されます。
まとめ:大切なのは、子どもにとって何がベストかという視点
5回にわたりお伝えしてきたように、共同親権制度は「子の利益」を最優先に設計された制度です。共同親権・単独親権のどちらが正解、ということはなく、それぞれの家族の状況によって最善の選択は異なります。
制度が複雑で不安に感じる方は、ひとりで悩まずに弁護士や家庭裁判所の相談窓口に早めに相談することをお勧めします。子どもが安心して育つ環境を守るために、この制度を正しく活用してください。
シリーズ目次
- 第1回 「共同親権」って何? 制度の基本をおさえよう
- 第2回 共同親権・単独親権、どうやって決まるの?
- 第3回 共同親権になったら、日常生活はどう変わる?
- 第4回 DVや虐待がある場合、安全を守るための制度を知ろう
- 第5回 養育費の新ルールと、施行前に離婚した方へ(この記事)
本連載は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的なご判断は専門家にご相談ください。
